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最近、弊社では大量の廃塗料(ペンキ)を回収いたしました。
その数は大小の容器を合わせて50缶くらいありました。
※このうち、固まった状態の物は産業廃棄物として処分しました。ちなみに、廃塗料は液体の状態のままでは産業廃棄物として処分できません。
ご存知の方もいらっしゃると思いますが、塗料は構成要素として次の成分が含まれています。
【1】樹脂
【2】顔料
【3】溶剤
【4】添加剤
それぞれ、用途により様々な種類のものがあります。
【1】【2】をまとめて塗膜形成要素とも呼びます。
【1】樹脂
樹脂とは、塗料の塗料たる性質を出すための重要な成分の一つであり、塗装した際に塗膜(コーティング)を形成するための原料となるものです。
たとえば、耐熱性の高いものを例に挙げると、エポキシ樹脂、アルキド樹脂、フェノール樹脂などがあります。
【2】顔料
着色するための成分で、塗料だけでなく、インク、化粧品にも使われています。
たとえば、黒色を出すためのものとして、カーボンブラックがあり、緑色を出すためのものとして、酸化クロム(Cr2O3)があります。
【3】溶剤
樹脂や顔料を溶かして液体の状態にしておくためのものです。この溶剤が揮発すること(液体から気体になること)によって塗膜ができます。代表的なものに、ベンゼン、トルエン、キシレン(いずれも後述)といった有機溶剤があります。塗料だけでなく、インク、接着剤などにも使われているものです。
【4】添加剤
塗膜を形成しやすくするために、添加させるためのものです。界面活性剤やシリコーンなどがあります。
さて、塗料の成分の溶剤(【3】)には人体に有害な化学物質があります。たとえば、有機溶剤の一つであるベンゼン。
これは炭素原子6個、水素原子6個の組み合わせで、ちょうど、亀の甲羅を思わせるようなリング状となった化学構造(いわゆるベンゼン環)を持つ物質です。
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https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%99%E3%83%B3%E3%82%BC%E3%83%B3
最近、東京都江東区豊洲の土壌汚染問題がニュースで報じられていましたが、その土壌汚染の引き金になったのが、このベンゼンという物質です。ちなみに、豊洲では、基準値をはるかに超える量のベンゼンが検出されたそうです。
ベンゼンのような有機溶剤としては、他にもトルエン、キシレン(いずれもベンゼン環を持つ有機溶剤)といった化学物質があります。これらの有機溶剤は、環境汚染の恐れがあるため、豊洲の問題を例に出すまでもなく、単純に土の中に埋めるわけにはいかないわけです。
そこで、廃塗料の処分にあたっては、“固める(固化)”ことがいまのところ安全な処分方法となります。具体的には二つの方法が挙げられます。
一つは、自然乾燥です。これは空気に直接さらすことによって、塗料の中の溶剤(上記【3】)を揮発させる方法です。
もう一つが、残塗料処理剤を使う方法です。残塗料処理剤を塗料に混ぜることによって、溶剤(【3】)とその他の構成要素を分離するという方法です。
たとえて言うと、塩が水に溶ける反面、油が水に溶けないように、いずれの化学物質にもその性質に応じて溶けるものと溶けないものがあります。この原理を応用したものが、残塗料処理剤を使う方法です。
時間をかけても経済的に処分するのでしたら、選択肢として前者の方法ですが、多少お金をかけてでも効率的に処分するのでしたら、後者の方法となります。
私共は、現在、大量の塗料をこれら両方の方法を組み合わせて処理中です。
皆様の中にも、塗料を処分する方がいらっしゃいましたらご参考になれば幸いです。
ちなみに、乾いて固まった塗料は少量でしたら新聞などに包んで一般廃棄物として処分できます。
東京23区、川崎市における塗料の処分については、ぜひ、ニシダサービスにお任せください。もちろん、その他の地域もご相談に応じます。